生活保護法(昭和25年法律第144号)第29条が改正され、新たに生活保護法第29 ... のために行う調査権限の拡大
生活保護法第29条は、『資産及び収入の状況につき、官公署に調査を嘱託し、又は銀行、信託会社、要保護者若しくはその扶養義務者の雇主その他の関係人に、報告を求めることができる。』
(資料の提供等) 第二十九条 保護の実施機関及び福祉事務所長は、保護の決定若しくは実施又は第七十七条若しくは第七十八条の規定の施行のために必要があると認めるときは、次の各号に掲げる者の当該各号に定める事項につき、官公署、日本年金機構若しくは国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第三条第二項に規定する共済組合等(次項において「共済組合等」という。)に対し、必要な書類の閲覧若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社、次の各号に掲げる者の雇主その他の関係人に、報告を求めることができる。
一 要保護者又は被保護者であつた者 氏名及び住所又は居所、資産及び収入の状況、健康状態、他の保護の実施機関における保護の決定及び実施の状況その他政令で定める事項(被保護者であつた者にあつては、氏名及び住所又は居所、健康状態並びに他の保護の実施機関における保護の決定及び実施の状況を除き、保護を受けていた期間における事項に限る。)
二 前号に掲げる者の扶養義務者 氏名及び住所又は居所、資産及び収入の状況その他政令で定める事項(被保護者であつた者の扶養義務者にあつては、氏名及び住所又は居所を除き、当該被保護者であつた者が保護を受けていた期間における事項に限る。)
2 別表第一の上欄に掲げる官公署の長、日本年金機構又は共済組合等は、それぞれ同表の下欄に掲げる情報につき、保護の実施機関又は福祉事務所長から前項の規定による求めがあつたときは、速やかに、当該情報を記載し、若しくは記録した書類を閲覧させ、又は資料の提供を行うものとする。
生活保護法が改正されるまでは
①資産及び収入
についてのみ調査権限がありました。
平成26年7月1日改正により
①資産及び収入 (生業もしくは就労又は求職活動の状況、扶養義務者の不要の状況、他の法律による扶助、を含む。) ②健康状態 ③他自治体における生活保護の有無 ④その他政令で定める事項
、新法第29条第2項の創設により、資料の閲覧又は資料の提供を求めた場合において、一部の範囲の情報に係る回答を義務付けたものであるが、改正法によって回答義務の対象となった情報について、すべからく調査を行う必要があるということではないこと。今回の改正を契機に、いたずらに調査を行うことは、調査先に過度な負担を生じさせ、かえって回答が著しく遅滞するなどの事態もあり得るものであることから、真に調査が必要か否か検討をした上で、適切に調査依頼を行うべきであることに改めて留意すること。
【市町村が行っている法第29条調査の調査範囲】 ①電話会社に対する、電話番号の照会、通話履歴の調査 ②電力会社、ガス会社、水道事業に対する使用量調査 ③市町村間の戸籍、附表、住民票取得 ④外国人登録の照会、出入国調査(出入国管理局) ⑤逮捕歴、犯罪歴、公訴提起等の事実の調査(警察、検察) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ⑥預貯金残高、現金書留による送金履歴、銀行口座間の入出金履歴調査 ⑦給料、雇用保険、健康保険に関すること(勤務先、社会保険事務所、職安) ⑧年金(社会保険事務所) ⑨生命保険、学資保険(保険会社) ⑩土地、家屋(法務局)