生活保護費引き下げ違法判決 約300万世帯に追加給付へ 厚労省 2025年11月22日午前6時15分NHK 厚生労働省 生活保護の支給額の引き下げを違法とした判決への対応策をめぐり、厚生労働省は、違法とされた「デフレ調整」による引き下げ分については、原告に全額を支給する一方、それ以外の受給者は再設定した水準との差額を給付する方針を決めました。
2025年6月、最高裁判所は厚生労働省が2013年から3年にわたって生活保護の支給額を段階的に引き下げたことについて専門家の審議を経ないなど、判断の過程に誤りがあり、違法だとして引き下げの処分を取り消しました。
厚生労働省は専門家委員会を設置して対応を検討してきましたが、違法とされた物価の下落に基づいた「デフレ調整」については、改定率を再設定する方針を決めました。
当時のすべての受給者に対し、一般の低所得世帯の消費実態に基づいてマイナス4.78%だった改定率をマイナス2.49%に再設定し、差額を追加給付します。
このうち、原告については、裁判の争いを繰り返さない観点などから「特別給付金」を加えることで、引き下げ分の全額を支給することを決めました。
一方で、判決で違法とされなかった、年齢や世帯人数などの不均衡を是正する「ゆがみ調整」については、原告も含めて追加給付を行わないことにしています。
厚生労働省によりますと、支給される額は、年齢や住んでいる地域、生活保護の受給期間などで異なりますが、1世帯当たりでは、▽およそ700人いる原告は20万円ほど、▽原告以外はおよそ10万円と試算されています。
追加給付の対象は、合わせておよそ300万世帯、金額は2000億円前後になる見込みで、厚生労働省は必要な費用を2025年度の補正予算案などに盛り込むことにしています。
原告弁護団 撤回や被害の完全回復求める 厚生労働省が対応策を公表したことを受け、集団訴訟の原告の弁護団は緊急声明を出し、「司法軽視もはなはだしい」として、撤回や被害の完全回復を求めました。
声明ではまず、「訴訟の敗者である厚生労働省が主導して専門家委員会を開催してきた目的が、最高裁判決の意義をわい小化し、被害回復額を値切ることにあったことが明らかとなった」としています。
そして、減額された分を全額補償しないことは許されないとして、「最高裁によって支給額引き下げの判断が違法だと断罪されたのに、厚生労働省は同様の過ちを犯そうとしている。司法軽視もはなはだしく、三権分立や法の支配を揺るがすものだ」と批判しています。
その上で、対応策の速やかな撤回と謝罪、それに被害の完全回復を求めました。