非常識刑法講座

保護責任者遺棄致死罪

(刑法218条) 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしない罪. 3月以上5年以下の懲役

説明遺棄罪とは、刑法に規定された犯罪の一つ。要扶助者を移置・置き去りすることを内容とする犯罪。個人的法益に対する罪である。広義には刑法第2編第30章に定める遺棄の罪を指し、狭義には刑法217条に規定されている遺棄罪を指す。

保護法益: 生命、身体の安全

法律・条文: 刑法217条-219条

法定刑: 各類型による

未遂・予備: なし

客体: 老年、幼年、身体障害者又は疾病のために扶助を必要とする者

主体: 人、218条に関しては保護責任者(不真正身分犯)

結果: 抽象的危険犯

主体

刑法218条の「保護する責任のある者」(保護責任者)にどのような範囲の人間が含まれるか問題になるが、後述の保護義務の存在によって決定される。

保護義務

その発生根拠が問題になる。法令や契約などがこれに含まれるが、一定の行為(先行行為)を行った者についても事務管理や条理により保護義務が発生すると解されている。そのため本来保護義務を負っていなかったはずの者であっても、親切心で要保護者の保護を開始した(例、自室に引き取って看病した、病院へ連れて行くため車に乗せた)ために保護義務を負わされることもある。

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■大田区蒲田幼児置き去り事件 この事件には同情する、ペットとして子供を育ててたんだし、一度や二度じゃないんだからなんとか水と食料が上手く子供に届く方法はなかったかと思う

2020/6月13日、東京・大田区蒲田のマンションの一室で、たったひとりで息絶えた幼い女の子が発見された。警視庁は7月7日、娘の稀華ちゃん(のあ・3才)を置き去りにして死亡させたとして、母親の梯沙希容疑者(かけはし・さき・24才)を保護責任者遺棄致死の容疑で逮捕。梯容疑者は、8日もの間、稀華ちゃんをひとり自宅に閉じこめて、鹿児島まで交際男性に会いに行っていた。出発時、帰りの便は予約していなかったという。

(文春)

 梯が稀華ちゃんと暮らしていた1DKのマンションはJR蒲田駅から徒歩数分の距離にある。川沿いに建つマンションの周囲にはラブホテルが立ち並び、稀華ちゃんと一緒に暮らしていたマンションのガラスはひび割れ、ベランダには無造作にベビーカーやごみが散らばっていた。捜査関係者は「室内はごみ屋敷のようだった」と語っている。  稀華ちゃんが最後に暮らしていたマンションの風景とリンクするかのように、宮崎県生まれの梯自身、幼少時代は決して恵まれた環境ではなかったようだ。梯の中学時代同級生が振り返る。 「入所の経緯は知りませんが、(梯は)児童養護施設から学校に通っていました。ですが学校には他にも養護施設から通っている子も多く、彼女もあっけらかんと『(昨日施設で)こんなことがあって~』なんて喋る子でしたよ。学内カーストでいうと上の子たちと付き合っていたタイプでしたが、決して下の子を見下すようなタイプではなく、1年生の時には3年生のイケメンの先輩と付き合っていましたね」 実母から平手で殴られ全治2週間の怪我  同級生も知らなかった梯容疑者の児童養護施設入所の事実。その経緯には今回の事件を彷彿させるような過去が潜んでいた。事情を知る捜査関係者が声を落とす。 「梯は8歳の時に母親から『身の回りのことをキチンとしない』などの理由で平手で殴られ全治2週間の怪我を負わされています。あばらや腰の骨が浮き出てるほどやせ細り、食事を十分に取っていない状態だった。県警は『緊急事態』と判断し、母親は傷害と保護責任者遺棄、父親は保護責任者遺棄の容疑で逮捕した。  事件発覚後に梯は入院し、児童相談所に保護され、その後は養護施設に入所しました。事件後に両親は離婚していますが、梯は現在も母親との関係は切れておらず、複雑な親子関係だったのは想像に難くない」  そうした虐待を実母からも受けていながらも、梯は母親に対し複雑な愛情を持っていたようだ。前出の梯の中学時代の同級生が言う。 「お父さんについては聞いたことがありませんが、お母さんのことは『ウチのお母さんは可愛い。仲がいい』みたいなことを話していて、母親との仲は良さそうでした。ですから(梯が)虐待を受けていたことは全く知りませんでした」

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■押尾学事件 同情の余地なし 2009年(平成21年)8月2日、押尾が合成麻薬MDMAを服用したとして同年8月3日に麻薬取締法違反で逮捕される事件が発生した。その際、六本木ヒルズのマンションの部屋で押尾と一緒にMDMAを使用したホステスの女性が全裸で死亡していたことや、事件現場の部屋の名義が押尾の知人であるピーチ・ジョン代表取締役社長の野口美佳であったことなどにより、スキャンダラスな観点から報道がなされた。

その後、押尾に対して、MDMAを服用した罪と、MDMAを服用して意識不明となったホステスに対して適切な処置をしなかった保護責任者遺棄致死罪で裁判となった。

この事件の同時期に、酒井法子夫妻の覚醒剤使用事件も起こる

押尾右端

[裁判]2012年2月15日、最高裁第一小法廷(宮川光治裁判長)は押尾に対し上告棄却の決定を下した。押尾は上告棄却決定に対して異議申し立てをしたが、28日、最高裁第一小法廷(白木勇裁判長)は上告棄却決定に対する異議申し立てを棄却する決定をした。これにより本件での一審・二審の懲役2年6月の実刑判決が確定すると共にMDMA服用事件での執行猶予判決も取り消される為、2件の刑期を合わせた期間を服役。3月29日、押尾は東京高等検察庁に出頭し、東京拘置所に収監された。服役期間は本件とMDMA服用事件を合わせて最長で3年6か月となり、押尾学事件は全て法的措置が完了したこととなる。収監から数年後の2014年12月に静岡刑務所から仮釈放 2017/11再婚


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