61歳の抵抗

しんちゃん

池袋デリ嬢殺人事件

情報屋ジョー・シリーズ「池袋デリ嬢殺人事件」

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池袋一番街、黄昏、アスファルトの日中のうんざりする照り返しがまだ冷めていない。

焼肉屋の貞子が、店前の道路に打ち水、アルミ杓子でひとつふたつ、三つ目が通行人の足元にかかった。

髪をうしろにまとめ、まだ化粧は薄いが大きな目は目立つ。

「あらっ、ごめんなさい」

素早く後ろに飛びのいた風のにおい。もしかして・・・

顔を上げて男の顔を覗く。

笑顔。日焼けした顔に白い歯。緋色の特攻服。

ポケットに手をつっこんだままだ。

「店、開ける時間だね、いいってことさ」

しんちゃんだった。

(あら、こんな早い時間に、どうしたのかしら)

「焼肉千」の二階にある事務所に緊急に呼ばれたのだ。

つづく

 

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