北の国から '98時代
1997年初夏、仕事で根室を訪れた正吉は蛍と会って富良野の人々の近況を話す。純は鏡台を完次の新婚宅に届ける。完次はチンタの兄で嫁のツヤ子はチンタの元彼女だった。完次は草太に勧められて農地を広げる一方、五郎の助けを借りて有機農業に取り組んでいる。清吉の死後、牧場を継いだ草太は近代的な牧場経営と大規模農業に傾倒しており、完次と五郎を否定していた。純は上砂川のシュウの実家にあいさつに行く。そこには無口なシュウの継父とシュウの兄姉らが揃っており、純はすっかり委縮してしまう。シュウは兄によって上砂川に連れ戻される。シュウは2人の関係を認めてもらうための試練だと受け入れるが、純には不安しかなかった。雪子が井関と離婚して富良野に戻ってくる。雪子のアパートに家具を運んだ純は代わりに大介に電話をかけてほしいと頼まれる。息子の大介は父親の元に残っていた。 ヘソ祭りの朝、中畑が純を呼び止め蛍が金を借りに来たことを告げる。夕方になり、純が正吉に呼び出されて喫茶店に行くと蛍がいた。純は厳しい口調で問い詰めるが、蛍は事情を話さない。そして2人の隙をついて行方をくらましてしまう。深夜牛の出産作業をする草太の所に蛍が現れる。草太は理由も聞かずに蛍に金を貸し、札幌まで送っていくと言う。蛍は黒木の子を妊娠しており、札幌で一人で生み育てるつもりであることを話す。 8月になって異常気象による豪雨が続き、完次の農地に疫病が見つかる。五郎の助けを借りて苗を処分するが、五郎は草太には内緒にするように言う。草太は正吉を呼び出し、蛍と結婚しろと命じる。蛍が一人で子供を産もうとしている、黒板家はお前の家族だと説得する。正吉は札幌に蛍を訪ねプロポーズするが、蛍はそれを受けられない。正吉は母親のみどりから加藤登紀子の歌「百万本のバラ」を聞かされ、どこにでも咲くオオハンゴウソウを百万本摘んで蛍に贈る。純や完次はその姿をいぶかしむ。盆休みの後、純は正吉から蛍を妊娠させてしまったこと、結婚したいことを打ち明けられる。動揺して怒鳴りつける純だったが、正吉は車で待つ蛍の所に純を引きずって行く。二人の意思に圧倒された純は二人を富良野プリンスホテルに泊める。翌朝みどりが純の部屋に現れるといきなり正吉を殴り始め、純には土下座して詫びる。3人は五郎の家に行き、正吉が蛍をくださいと五郎に言う。五郎は泣き笑い顔で3人の手を握りしめると令子の遺影の前で声を上げて泣く。そしてみどりに雪子と中畑を呼んで宴会を始め、騒いでいるところにツヤ子が駆け込んでくる。完次の奥の畑に疫病が出て、隣接する草太に伝えたところいきなり大型トラクターで乗り込んで来て農薬をまき始めたのだった。5年かけて生き返った土がまた死んだと完次は泣き崩れる。 秋になり、蛍は結婚式まで五郎の家で暮らすことにする。その頃、麓郷では蛍の子が正吉の子ではないという噂が流れていた。もやもやした五郎は上砂川にシュウを訪ねる。そして純は自分の気持ちに素直になれないから、シュウのほうから純に会いに来てやってほしいと頼む。収穫を終えた頃、完次は借金で行き詰まる。草太は農業をやめて出ていけと言い放つ。純と正吉が駆け付け、深夜になっても戻らない完次を探し回る。完次は廃屋で農薬を飲もうとしているところをチンタに保護されていた。純は草太のことが許せない思いを五郎に訴えるが、五郎は草太をかばう。その一方で完次が自分の畑にミミズが戻ったと感謝されたことが嬉しかったと語る。 シュウが純に会いに来る。シュウは純への気持ちを書き綴った革のノートを贈る。純が蛍の噂のことを話すとシュウは正吉ならあり得ると言う。草太は純を呼び出し、臨時職員を辞めて牧場を手伝えと迫る。手始めに借金のカタに取った完次のトラクターを運ぶのを手伝えと言う草太に純は完次からすべて取り上げたと激しく反発する。翌日純が雪子の店を訪れている時、草太が事故で死んだという電話がかかってくる。草太は一人でトラクターを運ぶ途中、誤ってその下敷きになっていた。手伝いを断ったせいだと自分を責める純をなだめる言葉がない五郎はシュウにそばにいてやってほしいと電話をかける。草太の遺体が荼毘に付される煙を見ながら純は蛍の正吉への気持ちを確かめる。 四十九日の後、純と正吉は新吉とシンジュクに呼び止められ、牧場を継がないかと勧められる。一方、時夫と広介に呼び出された純は草太が準備していた正吉と蛍の盛大な結婚式の計画を聞かされる。蛍も正吉も嫌がるが、麓郷の人たちは盛り上がる。正吉は牧場を継ぐ方向に気持ちが傾く。純は蛍の噂を気にかけるが、正吉は蛍のことは任せておけと言い切る。結婚式の朝、花嫁衣装に身を包んだ蛍はかしこまって五郎、純、雪子に挨拶をして石の家を後にする。中畑が五郎を迎えに来ると花火が上がり、キャデラックのリムジンが停まっているのを目にした五郎は怒りだし、結婚式には出ないと炭焼きを始めてしまう。中畑と純が何とか式場に五郎を連れて行くも五郎はひたすら酒をあおるばかり。やがて愛子がスピーチに立つとカセットテープに残されていた草太のスピーチ練習の声が再生される。純と蛍が布部駅に降り立った日からの様々な思い出を語る草太の声に参列者は皆これまで通り過ぎてきた時代に思いをはせる。すっかり酔いつぶれた五郎を抱えて石の家にたどり着いた時、五郎の懐に固いものが入れられていることに純が気付く。それは令子の遺影であった。
北の国から'98時代 前編 後編 純(吉岡秀隆)は臨時職員だがゴミ収集の仕事を続け、五郎(田中邦衛)は有機農業の手伝いと炭焼きをしている。ある日、純は恋人のシュウ(宮沢りえ)の実家にあいさつに行くが将来に不安を抱いて帰る。一方、螢(中嶋朋子)は落石(おちいし)で幸せに暮らしているはずだったが…。『北の国から』がはじまって断続的に放送されてきたシリーズの一応のまとまりを示した作品。協力・富良野市、北海道文化放送、新富良野プリンスホテルほか。後編は土曜20:04~23:18。 キー局 CX 放送曜日 金~土 放送期間 1998/07/10~1998/07/11 放送時間 20:04-22:52 放送回数 2 回 連続/単発 単発 番組名 フジテレビ開局四十年記念 主な出演 田中 邦衛、吉岡 秀隆、中嶋 朋子(中島 朋子)、岩城 滉一、宮沢 りえ、地井 武男、竹下 景子、中澤 佳仁(中沢 佳仁)、林 美智子、今井 和子、布施 博、清水まゆみ、美保 純、室田日出男、ガッツ石松、平泉 成、笹野 高史、小野田 良、古本新之輔、永堀 剛敏、小池 美枝、上杉 祥三、筒井真理子、小野田 良、斉藤 浩子(※同姓同名の役者あり、1960/06/15生まれの斉藤浩子とは別人)、熊耳 宏之、 主な脚本 倉本 聰(倉本 聡) 主なプロデューサ (プロデュース・山田 良明、笹本 泉)(プロデュース補・塚田 洋子)(協力プロデュース・森井 勝美) 主な演出 杉田 成道(演出補・佐々部 清)(演出助手・梅原 紀且、小林 和宏) 局系列 FNN 制作会社 CX 制作 (制作担当・紺野 生、加藤 賢治) 音楽 さだまさし 主題歌 (さだまさし) 撮影技術 竹越 由幸、森田 修、(技術・堀田 満之) ビデオ フジテレビ/ポニーキャニオン