第06話 1985年12月27日 「破戒尼殺し」 「アリバイは両刃の剣」所収 「破戒尼」 篠崎好 山根成之
佐藤仁哉、榎本ちえ子、江崎和代、西山辰夫
照心庵の古井戸から村岡明澄尼の遺体が発見された。 同じく尼であった竹下比佐江が痴情のもつれが原因で殺してしまったと罪を求めたが 法廷で一転して否認。葉子が用意したタクシー運転手・長沢広之の以前客として乗った村岡が自殺しようとしたという証言もあり、村岡の死は自殺との流れになった。 ほぼ同じころ中田島砂丘から相次いで純金の延べ板が発見されていた。 そして同じ純金板が村岡が死んでいた井戸の下から発見された。 金についていた指紋から持ち主は奥村政太郎と直ぐに分かった。 奥村政太郎は檀家総代であり、村岡に手を出した事から村岡と竹下が争う事になった原因の男。 柊検事は村岡殺しの犯人として一応疑いをかけるが、香港のホテルから盗まれた盗品を安く買いたたいたのを 隠していただけ、その事は村岡も知っていたとの証言に嘘はなかった。
奥村政太郎の事が原因で取っ組み合いの喧嘩をしている時に村岡はつい金の事を話してしまった。 その事を竹下比佐江は長沢広之に相談した。長沢広之が村岡の事として話していた騒動は本当は比佐江の事であり、その事がきっかけで恋仲となっていた為だ。話を聞いた長沢は村岡を殺して金を奪おうと言い 村岡に強い恨みを持っていた比佐江はそれに乗った。現場を目撃していた奥村は後に長沢に殺され 長沢は比佐江をも斬り捨てるつもりであった。比佐江と結婚の約束をした筈の長沢は他の女と結婚の予定があると柊検事から聞かされた比佐江は全て喋った。
戒律に於ける重罪 ・軽罪の区別
波羅提木叉 の 中 に は, 重罪(「 破戒」又は 「犯戒」 ともいわれる)と 軽罪(「 破威儀」ともいわれる)の 二 つが ある