非常識刑法講座

窃盗罪

法律・条文: 刑法235条

保護法益: 事実上の占有(占有権)/本権説あり

未遂・予備: 未遂罪(243条)

法定刑: 10年以下の懲役又は50万円以下の罰金

故意: +不法領得の意思

実行行為: 窃取

客体: 他人の財物

既遂時期: 財物の占有を取得した時点

公訴時効:7年

付記

不法領得の意思とは、判例及び通説においては、①権利者を排除して他人の物を自己の所有物として振る舞い、②その経済的用法に従い利用又は処分する意思をいう。なお、学説上、いずれかのみを必要とする説、両者とも不要とする説もあり、争いがある。

権利者を排除して他人の物を自己の所有物として振舞う意思は、解釈上不可罰とされる使用窃盗(他人の物の無断使用)との区別のために必要とされる。すなわち、この要件を必要とする説は、使用窃盗の場合は財物を恒久的に自己の物とする意思に欠けるので、窃盗として処罰されないとする。逆に、この要件を不要とする説は、使用窃盗の不可罰性は可罰的違法性の欠如によって説明できるとする。 経済的用法に従い利用又は処分する意思は、別罪である毀棄罪(器物損壊罪など)との区別をするため必要とされる。すなわち、この要件を必要とする説は、窃盗にせよ器物損壊にせよ、被害者にとっては財物の利用価値を毀損される点で違法性が同等であるにもかかわらず、窃盗罪が器物損壊罪(法定刑は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)よりも重く処罰されることの根拠は、窃盗罪にはその物から経済的価値を引き出そうとする意思があり、道義的により重い責任非難に値する、という点に求めるほかないと考える(道義的責任論を前提とする)。

条文

(窃盗)

第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

記事

2020/04/27 kd 仙台法務局員、唐辛子盗み懲戒 同じ飲食店の備え付け、3回被害  仙台市の同じ飲食店で備え付けの唐辛子を3回盗んだとして、仙台法務局は27日までに、係長級の50代男性法務事務官を停職6カ月の懲戒処分にした。25日付。事務官は辞職した。同局の調査に「辛い物をかけて食べるのが好きだった。家でもかけようと思った」と説明。弁償済みという。  法務局によると、事務官は1月から3月24日、昼食のため訪れた仙台市青葉区の飲食店で唐辛子3缶(計1848円)を盗んだ。店は3回目の被害に遭った同日、県警に通報した。事務官は仙台中央署の取り調べを受けたが、店側は被害届を出さなかった。  法務局は「極めて遺憾で、国民に深くおわびする」とコメント。


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Last-modified: 2020-04-28 (火) 00:00:00